お知らせ

会長ご挨拶 ADC展開催とWeb年鑑公開に寄せて

初めて尽くしの2025年。


30周年。会長及び役員改正。WEBサイトフルリニューアル。冊子年鑑からWEB年鑑へ。新鮮でもあり不安でもある、新体制での船出となりました。

今回の審査員には、大貫卓也さん、玉置太一さん、吉田勝信さんをお迎えしました。多くを語らずとも、運営側が抱えていた緊張感はご察しいただけると思います。毎年感じることですが、運営側にとっては作品数のこと、クオリティのこと、審査会の充実など、とても腹を傷めるところです。そのうえ今回は名実ともに大きな存在であった前会長不在の作品群で活気は生まれるのか・・・これもまた大きな不安要素でした。

今一度身近から声をかけました。長くやっていると、どこか当たり前になっていたところを、SNSだけでなく周囲に細かく声をかけ、改めてメディアにも呼びかけ、内外から盛り上げようと思いました。そんな最中の本番一ヶ月前、予想打にしないハプニングが発生。審査会場の変更を余儀なくされるという、設立以来初の事態。急ぎ新会場を探し出し、搬入から審査、講評会、パーティまでの運営体制を会員全員で整え、無事例年並みのエントリー数とともに、新鮮な雰囲気で審査会を終えることができました。まさに雨降って地固まるような出来事でした。

続いてWEB年鑑。前会長からの流れを引き継ぎ、今期より冊子からWEBへと大きく舵を切ることになりました。決してすんなり決まったわけではありません。数年にわたり議論を重ねた結果です。いうまでもなく、作品のアーカイブ機能はもちろん、より多くの人に届けることが可能に。協賛広告においては、これまでのA(1ページ)、B(半ページ)タイプの自由スペースから、リンク可能な社名バナーというスタイルに変更。ともすれば印象も役割も大きく切り替わります。先に続き、この機会を好機と捉え、個人の動きとしても改めてFACE TO FACEでの啓蒙に奔走しました。ご多忙の中お時間をつくっていただき、一定の賛同を得ることが出来たと思います。

ひとつ気づいたことがあります。それはギャップでした。つき合いの長い協賛社の方でも、私たちの活動をよく知らなかったと、おっしゃいました。時間の経過、担当者の交代などにより、形式だけがリレーされ、徐々に先細りしていった現状を垣間見たようでした。またある訪問先で、ADC展について「業界向けの展覧会だから入ってはいけないと思っていました」と。リアルな声です。当然個々人の興味にも左右されますが、決して入場制限をしているわけでもなく、むしろどこよりもパブリックな場所で催しているイベントなのにも関わらずです。

自分たちの、自分たちのための会であることを是とし、マニアックでいいと進むうちに、知らず知らずのうちに社会との壁をつくっていたのかもしれません。専門性を追求するためなのか、認知度を上げるためなのか。設立当初から形を変え似た論争は繰り返しありました。ですが基軸は研鑽の場であることに間違いはありません。そこが希薄になるようでは本末転倒。が、やはり閉ざしてはいけないと思っています。社会との接点を無くさず、知ってもらう努力も関わっていく勇気も必要です。

木を見よう。森を見よう。何なら耳もそばだてよう。
30年目にして今更かもしれませんが、改めて、初めましての気持ちでスタートを切ります。

審査員の皆さま、審査だけでなく、連夜の談義やイレギュラーなエピソードも含め、とても忘れがたい思い出になりました。本当にありがとうございました。そして、会場変更というハプニングも乗り越え、富山ADC会員の皆さん、ボランティアの皆さん、関係者全ての方のおかげで、30年目も滞りなく行えました。心より感謝申し上げます。今後ともTOYAMA ADCをよろしくお願いいたします。

会長 門嶋隆祐